<第1話>
<登場人物>
社長 :最近、既存の事業の売上が徐々にではあるが上がってきているが、新しい事業の
展開を考えている。
営業一課I課長:社長の右腕とも言うべき存在、最近子供も生まれやる気マンマン。
タモツ :入社5年目、優秀な営業マン。お客様様からも信頼を受けているが、ちょっとおしゃべり。
Tさん :インターネット通販会社の社長。
プライバシーマークの使用認定を受けている会社であり、個人情報の保護について詳しく研究している。
ある日の朝タモツが、メールチェックをしていると、I課長に呼ばれた。
I課長:タモツ、この間の営業会議で言っていた通信販売事業なんだけど
やることになったぞ。
タモツ:えっ、早い決定ですね、課長。
I課長:そうなんだ、このところ社長は新規事業に対する反応がよくて
色々と聞かれたが、早速やってみろといわれたんだ。
タモツ:そうですか、今回の企画の立案には苦労したんで、決定が
早くてびっくりしましたけど、うれしいです。
I課長:早速、準備にとりかかってくれ。
タモツ:課長、そのことなんですが、提案書を作成した後、気になる
事があったんで、色々と調べていたんですが、ちょっと困った
事になったんです。
I課長:なんだ、タモツ言ってみろ。
タモツ:それがですね、今回の通信販売事業で利用する顧客リストに
ついてなんですが、最近個人情報保護ってよく新聞なんかで
見るじゃないですか。
I課長:そういえば、この間新聞に情報漏洩事故の記事が載っていたな。
それと、なにか関係あるのか。
タモツ:情報漏洩ではないんですが、個人情報保護法っていうのが
2005年4月1日に施行されるんです。
その内容が気になったんで、読んでみると色々と規制が
あるんですよ。
I課長:個人情報保護法?そういえば、成立したのは知っていたが、
いつから施行になるのかは知らなかったな。
タモツ:そうなんです、実際に個人情報を使う時にならなければ、
気にしないもんですよね。
それによると、氏名、生年月日のように、その情報を見れば
「あの人だ」とわかってしまうようなものはすべて個人情報と
なるそうなんです。それも、文字による情報だけでなく、画
像、音声も含まれるみたいなんです。
それだけじゃなくて、他の情報と照合することにより特定の
個人を識別できるものも含まれるそうなんですよ。
I課長:じゃあ、今回使用しようとしている会社の顧客リストなんか
そのものじゃないか。
でも、あのリストはうちの営業マンが汗水たらして集めてきた
貴重な情報だぞ。
タモツ:それがですね、個人情報は情報主体のもの、すなわち、本人のもの
であって、本人が同意しなければ、勝手に使ってはいけない
みたいなんです。
I課長:それが、本当なら大変だぞ、タモツ。
今回の通信販売事業は社長も乗り気だし、ここまできて「できませんでした。」
なんて事言えないぞ。
タモツ:すいません、もう少し早く言えればよかったんですが、業務の合間を見て
調べていたもんですから・・・
どうしましょうか、課長。
I課長:タモツ、こういった事は悩んでいてもしょうがない。
とにかく色々な人に聞いてみよう。
タモツ、うちの取引先で通販事業をやっているところはないのか?
タモツ:そうですね、そういえば、このあいだ、勉強がてらインターネットの通販を
やっている業者の方に通販についてレクチャーしてもらったんです。
その時、個人情報の扱いが厳しくなってきたので、プライバシーマークがどう
のっていってました。
I課長:そんな事聞いてなかったぞ。
タモツ:課長に言うと資格を取れって言われると思ったもんですから・・・
昔から資格って苦手なんですよ・・・・
I課長:まあいい、とにかくそのプライバシーなんとかって事について聞いてこい。
タモツ:はい、早速電話してみます。
タモツは早速電話をいれたが、あいにく先方は外出中であった。
電話があった旨を伝えていただけるようにお願いして電話を切った。
夕方、先方のTさんから電話があった。
つづく・・・ 第2話へ